大型サンドブラスト処理の技術と品質基準|SSPC・ISO規格に準拠した重防食下地処理|原田鉄工

大型サンドブラスト処理の技術と品質基準|SSPC・ISO規格に準拠した重防食下地処理

大型サンドブラスト処理の技術と品質基準|SSPC・ISO規格に準拠した重防食下地処理
サンドブラスト加工とは、サンド(珪砂やアルミナ)と呼ばれる研磨材を高速で対象表面に衝突させ、サビや旧塗膜、ミルスケール(黒皮)などを除去し表面を改善する加工です。

表面処理の1種であるサンドブラスト処理は、塗装寿命を左右する素地調整(下地処理)において最も優れた加工方法とされてます。
単なる表面の洗浄ではなく、塗料の密着性を高める「アンカーパターン」を形成することで、塗料の性能を最大限に引き出します。

本記事では大型構造物に対応するサンドブラスト処理の仕組みと構造、グリットブラストとの比較、メリットとデメリット、さらにSSPCやISOなどの品質規格について詳しく解説します。

目次

素地調整(下地処理)の重要性とは?

素地調整または下地処理とは塗装を行う前に「表面を塗装に最適な状態へ整える作業」を指します。
現場ではケレン作業とも呼ばれ、代表的なものに「ブラスト処理」「脱脂洗浄」「電動工具による研磨」などがあります。

一般的には「塗装技術」や「塗料の種類」が注目されがちですが、実は塗装工程において最も重要なのがこの素地調整です。

いかに高性能な塗料を熟練の技術で塗装しても、表面にサビや劣化した旧塗膜、ミルスケール(黒皮)と呼ばれる酸化被膜が残っていては、塗膜は表面に密着できず短期間で剥離するためです。

素地調整の作業でこれら不純物を除去し、塗装に適した清浄な表面(素地)となって初めて、塗料はその性能を発揮することが可能になるのです。
なかでも大型構造物において最高グレードの素地調整を実現するのが「サンドブラスト処理」です。
ケレン作業(素地調整)による鋼材表面の変化。ブラスト処理前後の比較。

サンドブラスト処理とは?その目的について

サンドブラストとは?

ブラスト(Blast)とは「突風」「吹き付ける」という意味を持ち、ブラスト処理とは製品の表面へ研削材(砂や金属などの粒子)を高速で吹き付けることで表面を加工する方法です。

1870年のアメリカでベンジャミン・チュー・ティルマン(B.C.Tilghman)氏が非常に強い風によって運ばれた砂漠の砂が窓ガラスに吹き付けられている様子から着想を得た、「サンドブラスト工法」を考案し世界中に広まっていきました。

日本でも1950年以降このブラスト処理は頻繁に取り入られるようになり、船舶の錆取りや塗装前の下地処理に始まり現在では電子部品や工芸品、インテリアなど幅広い分野で活用されています。

またサンドブラストはその名の通り当初、珪砂(けいしゃ)と呼ばれる砂を研削材として使用していました。
耐食性や耐熱性に優れ安価で入手しやすかったため広く普及していましたが、
細かく砕かれた珪砂の粉塵を吸い込むことで「じん肺(珪肺症) 」を引き起こす健康被害のリスクが問題視されるようなりました。

現在では作業者の安全を確保するため、国際標準化機構(ISO規格)や日本産業規格(JIS規格)においても、遊離残留シリカを含む研削材(天然の砂など)の使用は制限されています。
この様な背景から現代のサンドブラストではテクノロジーの進化により、安全性が高く加工能力に優れた砂以外の研削材が主流となっています。

サンドブラストの目的

製品の表面に研削材を高速で吹き付け、表面を加工するブラスト処理。
サンドブラストには大きく3つの目的があります。
①研削
  • 梨地加工
    加工後の表面は梨地と呼ばれる光沢を抑えた高級感のあるマットな仕上がりとなります。
  • アンカー効果(投錨効果)
    表面に微細な凹凸を形成することで、塗装やメッキなど密着力を飛躍的に高め、過酷な環境下での塗装剥離を防止。
  • 機能性の向上
    滑り止めや艶消し、反射防止といった効果や放熱性や保油性の向上、キズや汚れが目立ちにくくなる効果があります。
②除去
  • 表面の清浄化
    金属の酸化被膜である黒皮(ミルスケール)の除去、表面に付着した錆やゴミ、汚れなどを除去します。
  • 塗膜や樹脂の剥離
    古くなり劣化した塗装や樹脂などを根こそぎ剥ぎ取り、新品同様の素地に戻します。
  • バリ取りや清掃
    精密な研削力調整により、母材を傷めずにバリ取りやクリーニングが可能です。
③改善
  • ショットピーニング効果
    金属表面を圧縮残留応力を与え、疲労強度(繰り返し荷重がかかる際に破壊に至るまでの強度)を向上させます。
  • 耐摩耗・硬度向上
    表面の組織を緻密にすることで、摩擦に強く傷がつきにくいタフな表面を作ります。

これだけ多岐にわたる効果を対象物全体へ同時かつ均一に与える素地調整の方法はブラスト処理以外にありません。
手工具や電動工具を用いた「2種ケレン・3種ケレン」では、どうしても作業者の技術差や対象物の形状によって、均一に仕上げることが困難だからです。

ブラスト処理はその圧倒的な「清浄度」と「均一なアンカーパターン」の形成能力において、他の追随を許さないため、
素地調整の中で最高グレードとされています。
サンドブラスト処理前と処理後の比較画像

サンドブラスト処理の仕組みと構造

サンドブラストはコンプレッサで作られた圧縮空気を利用し、ノズルから研削材とエアを同時に噴射するエアーブラストの一種です。

研削材には炭化ケイ素やアルミナ、ガーネットなどの非鉄金属が主に使用され、その噴射方式によって「重力吸引式」と「加圧式(直圧式)」の2つのタイプに大きく分けられます。

一般的なDIY用や小型のブラストキャビネットでは「重力式や吸引式」が主流ですが、原田鉄工が大型構造物の重防食下地処理に採用しているのは、圧倒的な投射能力を誇る「加圧式(直圧式)」です。

サンドブラスト処理|加圧式の構造

圧縮空気の力を手元のノズルだけではなく、研削材の入っているタンクにも加える方式です。
研磨材の入ったタンクを加圧することで、研磨材は限界まで加速されノズルから噴射されます。
極めて高い研削力を持ち、大型構造物や厚みのある塗膜なども簡単に除去できるメリットがありますが、装置規模が大型になりやすいデメリットがあります。

サンドブラスト処理|重力吸引式の構造

サンドブラストで最も一般的なのが重力吸引式となります。
研削材は圧縮空気の負圧によって手元のノズルへ吸われ、エアーと共にノズルから噴射されます。
構造はいたってシンプルで省スペースというメリットがありますが、研削力が低く塗装前の素地調整や大型製品には不向きなデメリットがあります。
サンドブラスト|直圧式と重力吸引式の比較表

大型ブラストルームの設備構造

原田鉄工では圧倒的な研削力を誇る「加圧式(直圧式)」を採用。
また外部への飛散を防ぎ、天候条件に左右されない「全天候型大型ブラストルーム」にてブラスト処理を行っています。
その構造は単に研削材をブラストルーム内で吹き付けるだけでなく、高度な循環・分離システムによって成り立っています。

  1. 投射 3台からなる高圧コンプレッサから送られた圧縮空気を制御し、特殊ノズルより研削材を噴射。
  2. 回収 ブラストルーム地下の回収用スクリューによって、研削材を常時回収。
  3. 選別 回収された研削材から使えなくなった研削材や粉塵・ゴミを分離除去。
  4. 供給 健全な研削材のみを再びブラスト用タンクへ供給。

これらの自動循環サイクルによって大型製品でも常に一定品質の研削材で処理ができ、均一なアンカーパターンを実現しています。

原田鉄工|全天候型大型ブラストルーム(サンドブラスト/グリットブラスト)
高さ4m×幅6m×奥行10m
基本最大対応重量:10t(これ以上の重量物もご相談ください)

ここでは「サンドブラスト」を例に解説しましたがブラスト処理には使用する研削材(砂、鉄、ガラスなど)によって、グリットブラストショットブラストといった様々な種類が存在します。

施工対象物の材質や、求められる粗さ(アンカーパターン)によって最適な工法は異なります。

各種ブラストの特性や使い分けについての詳細は、以下の比較解説ページをご覧ください。

ブラスト加工の種類と特徴について

▶ 関連記事:ブラスト工法の種類と使い分け

サンドブラスト以外にも鉄粒を用いる「グリットブラスト」や「ショットブラスト」など、ブラストには様々な種類があります。 研削材による仕上がりの違いや、用途別の選び方については以下のページで詳しく解説しています。

> ブラスト加工の種類と特徴について詳しく見る

サンドブラストとグリットブラスト

ブラスト処理の品質・仕上がりを左右するもう一つの要素が、対象物に応じた「研削材(ブラスト材)」の選定です。
従来珪砂(サンド)を使用していたサンドブラストですが、現在では珪砂に置き変わった安全性の高い多様な研削材が使用されているため、「非鉄・非金属製」か「鋼製(スチール製)」かによって、サンドブラストとグリットブラストは区別されることが多いです。

研削材による区分けと特徴

様々な研削材の種類と特徴

ブラスト処理で使用される粒子は「研削材」又は「研磨材」や「メディア」などと呼ばれます。
このブラストで使用される粒子は噴射・投射が可能であれば、何でも研削材となります
そのため研削材には多種多様な素材・形状・サイズなどが存在しています。

研磨材で重要とされるのは素材・形状・サイズ・硬度・比重・粉砕性の6つの要素です。

  • 素材
    加工対象物がステンレス製など非鉄金属の場合、鋼製研磨材を使用すると表面に鉄粉が付着することで発生する「もらいサビ」を防ぐため、加工対象に合わせた素材を選ぶ必要があります。
  • 形状
    加工効果に影響します。
    鋭角が多い多角形状は素地調整などに適した研削や除去が目的。
    球状はバリ取りやピーニング効果といった改善が目的。
  • サイズ
    加工力に影響します。
    大きな研磨材は表面に与える影響も大きく、小さな研磨材は表面に与える影響も小さくなります。
  • 硬度
    研削力に影響します。
    大きければより粗く、低ければ損傷を抑えた加工が可能。
  • 比重
    加工力に影響します。
    比重(重量)が重いものほど研削性に優れます。
  • 粉砕性
    施工コストと資源循環性(再利用による環境負荷の低減) に影響します。
    小さいものは回収・再利用が可能なのでコストパフォーマンスに優れます。


ブラストで使用される研削材の種類と特徴

原田鉄工の高品質サンドブラスト

一般的なサンドブラストは「グリットブラストに比べて研削力が弱く、装飾加工やバリ取りなどが適正」と言われることもありますが、原田鉄工の強力な加圧式設備においては、その限りではありません。

  • グリットと遜色ない「粗面化」
    当社の高圧噴射技術によってアルミナ等の研削材を使用した場合でも、塗装前の素地調整として十分な表面粗さを確保することが可能です。
    表面粗さの数値もグリットブラスト処理と大きく変わらない、強固な密着力を生むアンカーパターンを形成します。
  • 非鉄金属の「もらいサビ」を完全防止
    ステンレスやアルミ製品に対し、鋼製の研削材を使用すると表面に微細な鉄粉が残留し「もらいサビ」の原因となります。
    当社は非鉄系研削材を適切に選定することによりもらいサビを防止しながら、塗装に最適な素地調整やサビ除去が可能です。
  • 施工環境の完備
    サンドブラストの研削材はグリットと比較し粉砕されやすく粉塵が発生しやすい特性がありますが、当社では大型の集塵・換気システムを備えたブラストルーム内で施工するため作業員の安全性及び作業性を両立させています。

原田鉄工のサンドブラストはステンレスやアルミなどの非鉄金属への素地調整に特化した設備となっています。

サンドブラスト処理のメリットとデメリット

あらゆる素地調整の中で「最高グレード」とされるサンドブラストですが、施工にあたってはメリットだけでなく、考慮すべき課題も存在します。

サンドブラストのメリット

  • 幅広い素材に対して有効
    サンドブラストは化学的な薬品などを使用せず、研削材を直接衝突させる物理的な処理方法なので加工対象となる素材は問いません。
    【対象素材】鉄、非鉄金属、石、ガラス、木材、プラスチック、セラミック、樹脂、ゴム、カーボン、布、半導体・電子部品
  • 圧倒的な密着力
    手工具や電動工具などでは不可能なレベルで表面を微細に粗面化。
    塗料を「いかりやくさび」のように食い込ませる(アンカー効果)によって、過酷な環境下でも剥がれない強固な密着性を実現します。
  • 仕上がりを調整可能
    サンドブラストは様々な研削材を使用することができます。
    研削材の種類やサイズ・形状、処理時間などを変化させることによって、仕上がりの見た目や質感を変化させることが可能。
  • 複雑な形状への対応力
    ノズルから噴射される研削材は手作業や工具が一切届かないような狭い奥まった箇所へも均一に到達し、完璧な清浄度を実現します。
    また特殊なノズルを装着することによって、長尺配管の内部やタンク内部のような範囲も処理可能となります。
  • 圧倒的な施工スピード
    極限まで高速化され噴射する研削材は広い範囲を一度に処理することが可能なため、大型構造物や製品でも短納期での施工が可能です。
  • 機能性の向上
    サンドブラストによって表面はザラザラとした肌触りで滑り止めの効果、微細な凹凸で光を乱反射する防眩、表面積増加による放熱性・保油性の向上などの機能を向上させます。
  • 意匠性の高さ
    サンドブラスト後の梨地(なしじ)と呼ばれる光沢を抑えた高級感のある仕上がりは、その意匠性が高く評価されており商品に新たな付加価値を創造します。

サンドブラストのデメリット

  • 激しい粉塵と騒音の発生
    サンドブラストは研削材が砕けることによって大量の粉塵が発生します。
    また高圧縮空気の高速排気により激しい騒音も伴うため防塵・防音、集塵などを施した専用の設備環境が必要となります。
  • 製品の変形や歪みのリスク
    ブラストは圧縮空気と研削材を高速で噴射するため、素材の厚みや強度が不足している場合、塑性変形による反りや歪みが生じることがあります。
    また一度施工すると元の表面状態に戻せない「不可逆的な表面加工」なので、ネジ部や精密部などの部分はマスキングなどで保護する必要があります。
  • 作業者の安全確保と防護装備
    有害となる粉塵の吸引や金属を削るほど高速噴射された研削材から身を守るため専用の防護服や送気マスクの着用が必須であり、作業環境の設備・管理が重要となります。
  • 天候や湿度の影響
    ブラスト直後の活性化した金属表面は非常に繊細で、湿気などにより短時間で戻り錆(再発錆)が発生するリスクがあります。
    そのため、
    施工環境の温湿度管理が品質を大きく左右します。
  • 速やかな防錆処理
    ブラスト処理後はサビやすいため、4時間以内に防錆処理を行うことが推奨されています。
    速やかにプライマー塗装など行い、清浄化された素地を保護する必要があります。
  • 研削材の回収と廃棄コスト
    設備が大型であるほど、使用される研削材も膨大な量が必要となります。
    大量に使用する研削材の回収、粉砕された研削材の廃棄物処理にコストと労力がかかります。

ブラスト処理の品質規格|ISOとSSPC

ブラスト処理の仕上りは表面に付着したサビや不純物をどの程度除去したかという「清浄度(除錆率)」によってランク付けされています。
主要な国際規格(ISO・SIS・SSPC)と国内規格(JIS)を交え、処理方法や仕上がり程度の違いについて詳しく解説します。

素地調整の主要な品質規格について

ブラスト処理を含む素地調整(下地処理)にて頻繁に使用されるのは以下の規格です。
  • SSPC(Steel Structures Painting Council)
    産業・海上構造物の保護を目的とするアメリカ発祥の規格。
    エネルギー分野や海外案件で頻繁に引用され、洗浄度や方法によって細かく16規格に分類されている。
    ※2021年にNACEと統合しAMPPという組織になりましたが、現在も世界中の仕様書で「SSPC」の規格名称が継続して使用されています。
  • ISO 8501-1(INTERNATIONAL STANDARAD)
    世界中で同じ品質や製品・サービスを規格化し、円滑な国際取引を目的とするスイス発祥の規格。
    写真見本を用いた視覚的な判定を主とする規格です。
  • JIS Z 0313(日本産業規格)
    日本の産業製品の品質向上や安全確保を目的とした規格。
    ISO規格と整合性が図られており、国内の公共工事などで広く引用されています。

素地調整の規格・基準についてさらに詳しく

上記で紹介した規格のほかにも、実務では各規格間のより詳細な対照表や、具体的な判定基準の知識が必要になる場面があります。

当サイトでは「ブラスト規格とISO規格の清浄度比較」や、現場で役立つさらに専門的な技術解説ページをご用意しています。

設計仕様の確認やより深い専門知識が必要な方は、ぜひ以下のリンクより詳細情報をご確認ください。

【技術資料】素地調整・下地処理の規格について

SSPCとISOのより詳細な比較表や、鋼材の腐食度に応じた処理基準など、実務に直結する専門情報を公開しています。

> 素地調整の規格についてさらに詳しく見る

素地調整規格 比較一覧表

素地調整規格比較表(SSPC・ISO・JIS・1種〜3種ケレン対照表)

※SSPC・ISO 8501-1・JIS Z 0313に基づいた素地調整規格の対応一覧です。

社内資料や設計検討に便利な「PDF版」はこちらから

素地調整規格表(PDF)をダウンロード

素地調整規格の選定における重要なポイント

規格表を読み解く際、特に重要となる3つのポイントを解説します。

重防食塗装の標準「ISO Sa2.5 / SSPC-SP10」
橋梁やプラント、船舶などの重防食塗装(厳しい腐食環境に耐える塗装)において、最も一般的に指定されるのが「Sa2.5(ニアホワイトメタル)」です。
肉眼で見えるサビや汚れを完全に除去した上で、わずかな変色(5%以内)のみを許容する非常に高い清浄度が求められます。
原田鉄工では、このSa2.5を標準的な品質基準として施工管理を行っています。

② ブラストと電動工具の決定的な違い
表にある「1種ケレン(ブラスト)」と「2種・3種ケレン(電動・手工具)」では、塗料の寿命に数倍の差が出ると言われています。
ブラスト処理はサビを落とすだけでなく、金属表面に「アンカーパターン(表面粗さ)」と呼ばれる微細な凹凸を形成します。
これにより塗料が物理的に食いつき(投錨効果)、剥がれにくい強固な塗膜を形成できるのが大きな特徴です。

③ 全ての基本となる「溶剤洗浄(SSPC-SP1)」
どんなに強力なブラストを施しても、表面に目に見えない油分が残っていては意味がありません。
SSPC規格のSP1(溶剤洗浄)は、全ての素地調整の「前工程」として定義されています。
原田鉄工ではブラストの前に必ずこの脱脂工程を徹底することで、塗膜剥離の原因を根本から排除しています。

ブラスト処理とパワーツール処理の比較

素地調整にはブラストの他に電動工具(パワーツール)や手工具(ハンドツール)を用いる方法があります。
しかし、防食性能の観点では決定的な差が生じます。

塗膜寿命の約50%は「素地調整」で決まる
こちらのデータが示す通り、塗膜の寿命に影響を与える要因の中で素地調整が占める比率は49.5%と最も大きな割合を占めています。
塗膜寿命を左右する要因 寄与率
素地調整(1種ケレンと2種ケレンの差) 49.5%
塗回数(1回塗り部と2回塗りの差) 19.1%
塗料の種類 4.9%
その他(塗装技術、気候条件など) 26.5%
「良い塗料を使う」ことよりも「適切な素地調整(ブラスト)を行う」ことの方が、圧倒的に塗膜の耐久性に貢献します。

密着力を生む「投錨(とうびょう)効果」
  • ブラスト処理(1種ケレン)
    サビや黒皮を完全に除去するだけでなく、金属表面に微細な凹凸(アンカーパターン)を形成します 。

    これにより塗料が物理的に食いつく「投錨効果」が働き、過酷な環境下でも剥離しない強固な塗膜を実現します。
  • パワーツール処理 / ハンドツール処理(2種 / 3種ケレン)
    電動工具や手工具によるケレンは、表面の浮きサビを除去することはできますが、強固に付着したサビや酸化被膜は許容される場合があります。

    またブラストのような均一な凹凸を形成するのが難しいため、長期的な密着力ではブラストに及びません。

まとめ|高品質な大型サンドブラストは原田鉄工へ

ブラスト処理(サンドブラスト)は塗装の寿命、すなわち「製品自体の寿命」を左右する極めて重要な工程です。
適切な下地処理が行われなければ、どんなに高級な塗料を使用してもその性能は発揮されません。

この工程の品質は施工設備・環境管理、そして職人の技術力によって大きな差が生まれます。

原田鉄工ではお客様に長期間安心してお使いいただける製品を提供するため、以下の3つを強みに国内最高基準のブラスト・塗装サービスを提供しています。

全天候対応型の大型ブラストルーム・塗装工場を完備

ブラスト処理後の金属表面は非常に活性化しており、湿気に触れると瞬時に「戻り錆」が発生してしまいます。
そのため適切な温湿度環境下にて、通常4時間以内に防錆処理(塗装)を行う必要があります。
原田鉄工では天候の影響を受けない「完全屋内型」の大型ブラストルームを完備。
さらに併設された塗装工場では温・湿度をリアルタイムで測定・把握し、最適な環境を維持した状態で直ちに防錆処理を行っております。

雨天や高湿度などの気象条件を管理し、常に最適な環境で施工を行うため、下地の品質を落としません。

国内(JIS)・国際(ISO/SSPC)規格に基づいた厳格な品質管理

高い耐久性を誇る重防食塗装などの高品質な塗装には、極めて厳格な品質管理が必要となります。
当社では熟練の検査員がISO 8501-1(Sa2.5以上)やSSPC(SP10以上)の規格に基づき、目視判定だけでなく油分を可視化する特殊ライトや露点温度・表面温度を精密に測定する計測器などを用いて数値管理を徹底しています。
設計仕様書に定められた厳しい規格を確実にクリアし、その証明となるエビデンス(施工管理記録)を提供できる体制を整えています。

塗装してしまえば分からなくなる「素地」だからこそ、確かな記録が何よりも重要であると私たちは考えます。

熟練の技術による精密施工

原田鉄工では大型コンプレッサを連結した、超高圧直圧式サンドブラストとなります。
一般的な吸引式と比較して圧倒的な投射圧力と研削力を誇るのが特徴です。

頑固な旧塗膜の剥離はもちろん、大型構造物の狭隘部(狭く入り組んだ箇所)など隅々まで確実に素地調整を行うことが可能です。

また熟練の職人が角度や距離を微調整することで製品全体にわたって「均一で理想的なアンカーパターン(表面粗さ)」を形成。
塗料の密着性を高め、その性能を100%引き出す素地へ作り変えます。

単純にサビや酸化被膜を除去するだけでなく、「次工程の塗装を最大限に発揮させる下地作り」に徹底してこだわっています。

サンドブラストに関するよくある質問


Q:原田鉄工でサンドブラストで使用している研削材は?
A:ネオブラストという非金属系の研削材を使用しています。
ステンレスの副産物であるフェロニッケルスラグを原料としており、成分的にガーネットとほぼ同等です。
アルミやステンレスといった非金属製品への施工でも「もらいサビ」の心配がありません。

Q:研削材を指定して依頼することは可能?
A:サイズや形状、材質など問わず多種多様な研削材の指定が可能です。
しかし研削材の購入コストなどが追加となるので、当社常用研削材(ネオブラスト)を使用する場合に比べてコストが増加します。
ご希望の使用がある場合には、御見積り時に最適なプランをご提案させていただきます。

Q:依頼の前にサンプル処理(テスト施工)はお願いできる?
A:もちろん対応可能です。お気軽にご相談ください。
ブラスト処理による歪みや変形の確認、表面の仕上がりを確かめたいなどに活用頂いております。
複数の研削材を使用し、仕上がりの比較検討などにも対応させて頂きます。
※研磨材の購入費など一部実費をご負担いただく場合がございますので、あらかじめご了承下さい。

Q:サンドブラストを依頼した場合の納期は?
A:製品の形状・サイズ・数量や養生作業(マスキング)の有無によって大きく異なりますが「入荷後最短翌日~最長2週間程度」となります。
図面・仕様書を頂ければ正確な工期を回答させて頂きます。
お急ぎの案件についても、まずは一度お電話にてご相談ください。


「図面段階で規格の指定に迷っている」「大型構造物の防食について相談したい」といったご要望がございましたら、
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ブラスト加工後の塗装

ブラスト処理で酸化被膜、錆、旧塗膜が除去された表面は活性化しています。
せっかく清浄化された表面も酸素・水分と接触することで腐食が進行していくので、早急に塗装などの防錆処理を行う必要があります

一般的に素地調整後は4時間以内に塗装することが好ましいとされています。

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用語解説|ブラスト加工で使われる基礎用語まとめ

本ページで使用する専門用語の説明

  • サンドブラスト(ブラスト/1種ケレン 英語:Sand blast)
    表面処理(ケレン)方法のひとつ。
    表面へ研削材と呼ばれる粒子を高速で吹き付けることにより表面を加工する。
    「珪砂」という砂を研削材としていた為、サンドブラストを呼称される。

  • ブラスト(ショットブラスト/グリッドブラスト/サンドブラスト/1種ケレン 英語:Blast)
    高圧で圧縮した空気を研削材と呼ばれる粒と一緒に噴射し、製品に衝突させることで表面のゴミ、汚れ、塗装などを除去します。
    またブラストによって表面は微細な凹凸が形成されるため、塗料などコーティングの密着性が向上。
    塗装前の素地調整や梨地加工などに使用されている。

  • ケレン
    ケレンは元々英語のクリーン(Clean)から来ているようで、塗装前の下地を綺麗にするという意味になります。
    1種ケレン~4種ケレンまで工法と除錆率により分類される。

  • 研削材(研磨材/研掃材/メディア)
    ブラストで使用される加工対象物に直接ぶつけるための粒子です。
    球体、多角形状などの形状や粒径、材質が多くの種類が存在するため、対象物の材質や処理効果に合わせて研削材を選定する。

  • 表面処理(英語:Surface treatment/Surface preparation)
    素材表面の性質を向上させる目的に行う処理のことです。
    研磨・塗装・メッキ・熱など多くの処理方法があります。

  • 素地調整(英語:Surface preparation)
 素地をより塗装に適した状態にする処理の事です。
 素地調整で素地のサビ・汚れ・劣化した塗膜など除去し、形成した凹凸によって塗料の付着性を大きく向上させます。

  • 下地処理(英語:Surface treatment/Surface preparation)
    下地をより塗装に適した状態にする処理の事です。
    下地は既に防錆処理を施された面の事を言い、塗り重ねなどを行う前に行う処理となります。

  • ミルスケール(英語:Mil scale)
    黒皮とも呼ばれ、鋼材を製造する際に出来る表面の酸化被膜です。
    熱間圧延という製造方法では金属を高温に熱し形成するため、大気中の酸素と結合する事で黒皮になります。
    塗装を施す場合でも黒皮は密着性が悪いので、除去することが一般的です。

  • アンカーパターン
    ブラスト処理などで金属やコンクリート表面へ形成される、細やかな凹凸(粗面)のこと。
    塗料の密着性を大幅に高め、剥がれにくくする「アンカー効果」をもたらします。

  • アンカー効果(投錨効果/ファスナー効果)
    接着剤や塗料などの流動性が高い物質が表面にある微細な凹凸に入り込み、硬化する事で釘や楔のように引っかかり密着性が向上する原理。
    素地調整で行う研磨・目粗し作業は表面積の増加とこのアンカー効果を期待して行われています。

  • 梨地加工(シボ加工/マット仕上げ)
    表面処理において意図的に微小な凹凸をつくる加工。
    滑り止め、反射防止などの効果だけでなく、指紋や汚れなどを目立ちにくくする効果もあります。

  • ショットピーニング(英語:Shot peening)
    金属の表面に球状の粒子を高速で衝突させる表面処理。
    球状の粒子(ショット)により表面には丸みを帯びた窪みが多数形成される。
    潤滑性や耐摩耗性向上、疲労強度や表面硬度の向上、圧縮残留応力の付与など多くの効果がある。

  • ミルスケール(英語:Mil scale)
    黒皮とも呼ばれ、鋼材を製造する際に出来る表面の酸化被膜です。
    熱間圧延という製造方法では金属を高温に熱し形成するため、大気中の酸素と結合する事で黒皮になります。
    塗装を施す場合でも黒皮は密着性が悪いので、除去することが一般的です


  • (さび/腐食生成物 英語:Rust)
    金属表面の金属原子が環境中の「酸素」「水分」などと酸化還元反応を起こして生成される腐食物。
    酸素や水があるところに鉄を放置すると、錆を生じる。
    表面に凹凸が出来て反応面積が増大するため、一旦生じた錆は加速度的に進行する。

  • 清浄度(英語:Cleanliness)
    金属表面や潤滑油、空気などの対象とした物質、物体の清浄さの度合い。
    一定の面積や容積に対し含まれる汚染物の数や質量によって表される。

  • 除錆度(英語:Preparation grade)
    JIS Z 0310では"素地調整用ブラスト処理方法通則 清浄度の中、ミルスケール及びさびの除去程度"と定義。
    ミルスケール(黒皮)やさびをどれだけ除去できたかを目視にて評価します。

  • 重防食塗装
    橋梁やプラント、鉄塔などの構造物を長期間、保護する為の塗装。
    塗装を塗り重ねる事で厚い塗膜を作り、厳しい環境下でも長期間耐え製品の寿命を延ばします。

  • 防錆処理(英語:Antirust treatment)
    「ぼうせいしょり」又は「ぼうさびしょり」と読みます。
    金属を錆させない、錆びにくくする為の処理。


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