金属塗装の教科書|プロが実践する仕上がりを綺麗にするための鉄則と手順

塗装とは材料の表面を「塗料」の膜で覆うことで、外的要因から保護する表面処理の一種です。
金属は高い強度と加工の容易さから多種多様な製品・構造物の材料として利用されています。
しかし多くの金属は空気中の酸素や水分などと反応して錆(サビ)てしまい、その強度と外観は著しく低下します。
そのように錆びてしまった金属は強度の低下によって「構造物の安全性が確保できない」、「製品の役割を果たせない」などの問題が生じます。
金属を保護するために考えられたのが「塗装」です。
金属表面を塗料でコーティングすることで酸素や水分の侵入を防ぎ、防錆性や耐候性を高めることができます。
本記事では金属への塗装方法や綺麗に仕上げるコツに加え、塗装の目的や錆の防止方法、塗料の種類と特性、更に適切な下地処理や環境管理など金属塗装に関する幅広い情報を詳しく説明します。
目次
塗装とは?
塗装とは「素材を塗料の膜で覆う表面処理」です。
塗料を塗布・吹きつけ、乾燥させることで「塗膜」(塗料が硬化した膜)を形成させます。
塗装を行うことで素材を強固な塗膜で守り、美しく見せます。
塗装は作業性の良さ、素材や大きさを問わず塗布できる汎用性の高さから世界中の家電・家具・車両・船舶・建造物・橋梁などあらゆる製品に塗装は行われています。
また紫外線や雨風の影響で塗膜が劣化した場合でも、塗り直しや補修を施すことで再び保護性能を取り戻すことが可能となります。
定期的にメンテナンスを行うことで、半世紀以上の長い期間に渡り素材の保護を可能にする技術です。
塗装の目的
塗装はただ色を付けて綺麗に見せるだけではありません。
塗装には3つの大きな目的があります。
保護
塗装により表面を硬い塗膜で覆い、保護します。
- 腐食、紫外線、雨風、湿気、塩分などの環境要因
- 摩擦や接触などの外的要因
保護範囲は広く、製品を劣化から守ります。
美観
塗装により色彩を与え、美観を向上させます。
- 多彩な色彩、艶、質感などを表面に付与し、美しく
- 視認性の向上、危険色による注意喚起
製品に付加価値を与え、美しさを維持します。
機能の付与
塗料の持つ特殊な機能を付与します。
- 耐火―――火の延焼に耐性
- 耐薬品――酸・アルカリなどの薬品に耐性
- 耐油―――油・有機溶剤などの油類に耐性
- 防音―――振動を抑制し音を軽減
- 防水―――水へ高い耐性
上記以外にも豊富な種類があり、製品に機能を追加します。
錆の防止方法
鉄は「酸素」と「空気」に接触することで錆びていきます。
そのため錆を防ぐには表面をコーティングすることで酸素と空気を遮断する必要があります。
錆を防止するため一般的に3種類が広く利用されています。
防錆油
金属表面を油膜でコーティングすることにより、錆を防ぐ方法。
【メリット】
- 手軽に短時間で処理できる
- 寸法精度・公差に影響しない
- とにかく低コスト
【デメリット】
- 耐久性が低く屋外や高湿度環境下に向かない
- 摩擦や接触、衝撃からは保護できない
- 油膜がべたつく、ホコリやゴミ等が付着しやすい
塗装
金属表面を塗料の膜でコーティングすることにより、錆を防ぐ方法。
【メリット】
- 防錆(サビを防ぐ)と美観を同時に確保
- 色彩・艶・質感、特殊な機能付与など選択肢が幅広い
- 対象物のサイズや環境を問わず、補修も容易
【デメリット】
- 被膜にムラがあると、耐久性や見た目にバラつきが発生する
- ひび割れや経年劣化した部分は補修が必要
- 吹付け塗装は周囲に飛散するため、対策が必要
メッキ
金属表面を薄い金属の膜でコーティングすることにより、錆を防ぐ方法。
【メリット】
- 防錆性能が高く、強度が高い
- 複雑な形状でも均一な被膜を生成可能
- 浸漬するため内径部や入り組んだ形状でも対応できる
【デメリット】
- 大規模な設備が必要なので現場施工が難しく、コストが高い
- 大型製品などサイズによっては処理できない
- メッキの上に再度メッキ処理できないので、補修が難しい
塗料の種類と特性
塗料は「顔料」「樹脂」「溶剤」「添加物」これら4つの成分で構成されています。
そのうち性能や特性をもっとも左右するのが『樹脂』です。
そのため塗料は○○樹脂塗料といった形で大まかに種類分けされています。
塗料の種類とその樹脂の持つ特性について紹介します。
ポリエステル樹脂塗料
合成樹脂調合ペイントとしてJIS規格化され「アルキド樹脂塗料」「フタル酸樹脂塗料」などもこの種類に属します。
安価で粘度が低く作業性に優れ、光沢のある仕上がりとなるので幅広く使用されています。
耐水性や耐薬品性が低く、耐久年数は短めです。
安価で粘度が低く作業性に優れ、光沢のある仕上がりとなるので幅広く使用されています。
耐水性や耐薬品性が低く、耐久年数は短めです。
エポキシ樹脂塗料
エポキシ樹脂を用いた塗料でエポキシ樹脂塗料と変性エポキシ樹脂塗料の2種です。
エポキシ樹脂塗料は防食性、耐水・耐薬品性、耐熱性が高く密着性も優れているので、耐久性を求められる製品ではほぼ必ず使用されています。
しかし紫外線に弱い特性を持っているため、屋外など太陽に晒される場合には上塗を併用するなどの対策が必要です。
エポキシ樹脂塗料は防食性、耐水・耐薬品性、耐熱性が高く密着性も優れているので、耐久性を求められる製品ではほぼ必ず使用されています。
しかし紫外線に弱い特性を持っているため、屋外など太陽に晒される場合には上塗を併用するなどの対策が必要です。
ウレタン樹脂塗料
ウレタン樹脂を用いた塗料でウレタンはポリウレタンの事を指し、ポリウレタン樹脂塗料とも呼ばれます。
光沢、耐候性、耐水性などに非常に優れており、高い耐久性を持ちます。
木材から自動車や橋梁など様々な分野で上塗塗料として使用されています。
光沢、耐候性、耐水性などに非常に優れており、高い耐久性を持ちます。
木材から自動車や橋梁など様々な分野で上塗塗料として使用されています。
フッ素樹脂塗料
フッ素樹脂を用いた塗料で最も高い性能を持った塗料とされています。
最高レベルの耐候性、耐薬品性、耐熱性、撥水性を持っています。
耐久性が高いため塗替え周期の長期化、修繕・補修点検の低減などを目的に六本木ヒルズや東京スカイツリーなど
最高レベルの耐候性、耐薬品性、耐熱性、撥水性を持っています。
耐久性が高いため塗替え周期の長期化、修繕・補修点検の低減などを目的に六本木ヒルズや東京スカイツリーなど
大型建造物にも使用されています。
| 樹脂の種類 | 耐久性 | 防食性 | 主な特徴・メリット |
|---|---|---|---|
| ポリエステル樹脂 | △ | △ | 短納期・低コスト。屋内什器や家電に。 |
| エポキシ樹脂 | 〇 | ◎ | 密着性と防錆力が抜群。工場設備の下塗りに最適。 |
| ウレタン樹脂 | ◎ | 〇 | 耐候性が高く、屋外構造物や看板に広く採用。 |
| フッ素樹脂 | ◎+ | ◎ | 超長期耐久性。橋梁やビルなど大型建造物用。 |
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使用環境(塩害・高温・薬品)に応じたより詳細なスペック比較や、コストパフォーマンスを考慮した選定基準をまとめた「用途別塗料早見表(完全版)」は、以下の画像リンクよりダウンロードいただけます。
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塗料や塗装について質問がありましたら、お気軽にお尋ねください。
創業80年の経験と知識で最適な塗料選定、仕様選定をご提案します。
金属の塗装方法
- 溶剤塗装――シンナーなどの有機溶剤を使用し、顔料や樹脂を溶かした溶剤塗料で塗装する方法。
- 焼付塗装――溶剤塗料または粉体塗料で塗装を行い、高温に加熱することで塗料を硬化させる方法。
- 電着塗装――液体塗料を溜めた槽に浸漬することで塗装、高温に加熱することで塗料を硬化させる方法。
上記の方法の中で最も一般的な『溶剤塗装』の手順を紹介します。
素地調整
金属表面に付着した汚れ・油分・錆・塗料などを除去し、表面を塗装に適した状態へ変化させる作業です。
素地調整や下地処理と呼ばれ、塗装工程の中で最も重要とされる工程です。
①脱脂
有機溶剤のシンナーやガソリン、中性洗剤、脱脂用クリーナーなどを使用して表面の油分・汚れを除去します。
②研磨
ディスクサンダーなどの電動工具、粗目の紙やすり等を使用して表面の錆・酸化被膜・塗料などを除去。
金属と塗料の密着性を向上させる細かな傷を表面に与えます。
③清掃
脱脂で使用した有機溶剤や洗剤の残留物、研磨で発生した粉塵や削りカスなどを洗浄し、乾燥させます。
素地調整は「金属」と「塗料」の密着性を決める作業です。
不十分な場合は塗装が簡単に剥がれてしまうため、念入りに行いましょう。
養生(マスキング)
養生とは汚れ、傷、破損などから守る作業のことです。マスキング作業とも呼ばれます。
塗装工程においては塗装したくない箇所を隠す作業となります。
マスキングテープ・ガムテープ・マスカー・段ボール等を使用します。
またスプレー塗装のように塗料が飛散する場合は周辺を養生することで飛散を防ぎます。
養生を怠ると製品の破損や出来栄えの低下、周囲に多大な迷惑がかかる場合もありますので注意が必要です。
塗料の選定
塗装に使用する塗料を用意します。
塗料は溶剤によって「油性」と「水性」の2種類が存在します。
- 油性塗料は溶剤にシンナーを主成分とした有機溶剤を使用。
- 水性塗料は溶剤に水を使用。
油性塗料の方が耐久性や仕上がりに優れるとされますが、水性塗料は溶剤が水なので安全・手軽といったメリットがあります。
また塗料には「1液型塗料」と「2液型塗料」の2種類があります。
- 1液型塗料は主剤と呼ばれる塗料を水または有機溶剤を混ぜ合わせ使用します。
- 2液型塗料は主剤と硬化剤(副剤)、水または有機溶剤を混ぜ合わせ使用します。
1液型塗料は安価で手軽に使用できますが、2液型塗料の方が耐久性に優れ種類も豊富といったメリットがあります。
「油性塗料」か「水性塗料」、「1液型塗料」か「2液型塗料」どの塗料が周辺環境や求めている耐久性に適合するのか考慮して塗料を選定する必要があります。
塗料の用意
溶剤が必要ない塗料もありますが、必要となる場合には記載された必要量の溶剤・硬化剤を混合。
十分に攪拌することで塗料として使用することができます。
記載された混合比率や使用方法を守らなければ、本来の耐久性や仕上がりを発揮できない場合があります。
また塗料を攪拌する際には保護具をきちんと着用しましょう。
塗装
塗装を行う方法で広く使われているのは4種類です。
- はけ塗り――塗装用の刷毛(筆のようなもの)を使用し、塗料を塗り広げる方法です。
刷毛1本あれば手軽に作業可能ですが、綺麗な仕上がりとするには技術が必要で広範囲の塗装には不向きです。 - ローラー塗装――繊維製やスポンジ製のローラーを転がして塗料を塗り広げる方法です。
技術が無くても手軽に綺麗に塗装することが可能で作業効率にも優れますが、複雑な形状の塗装には不向きです。 - エアスプレー塗装――塗料と圧縮空気を同時に噴射し、霧化した塗料を吹き付け塗装する方法です。
複雑な形状でも綺麗に塗装することが可能ですが、機材が必要で粒子が細かいので塗料が多く飛散します。 - エアレススプレー塗装――塗料に圧力をかけ先端の微細な穴から噴射することで吹き付け塗装する方法です。
大量の塗料を効率よく付着させることが可能で仕上がりにも優れますが、機材・設備が必要となります。
使用する塗料によっても向き不向きがありますので、塗料の相性と塗装対象物の形状を考慮して選定しましょう。
また塗装時にはゴーグルや手袋などの保護具を正しく着用しましょう。
綺麗に塗装する方法
塗装を美しく見せるためには工夫が必要です。
塗装全般に言える基本的なものは以下の6点です。
- 素地調整(下地処理)を十分に行う
- 養生を丁寧に行う
- 塗装環境を整える
- 一度に多くの塗料をつけすぎない
- ムラなく均一
- 塗料が完全に乾くまで触らない
また塗装に使う道具別に綺麗に塗装するコツを紹介します。
刷毛塗り
はけ塗りで綺麗に塗装するコツ
①抜け毛の防止
新しい刷毛は抜けやすい毛を多く含んでいます。
使用前に毛をよく揉みほぐし、余分な毛を取り除くことで塗装中の抜け毛を防止します。
②塗料をつけすぎない
刷毛に塗料をべっとり浸けるのではなく、軽くつけ余分な塗料は容器の内側などで落としましょう。
塗料をつけすぎないことでタレ、表面の凹凸や不均一な塗膜を防止することができます。
③力を入れず同一方向に
力を入れて刷毛を押し付けてしまうと、刷毛に含まれた余分な塗料が流れ出してしまいます。
また刷毛の方向を固定し塗装することで、刷毛の摩耗を防ぎ美しい仕上がりが可能です。
④薄い場合は塗り重ね
刷毛は1度に多くの塗料を付着することが出来ません。
鮮やかな色彩の場合などは1度に厚塗りすると塗料が流れる可能性が高いので、数回に分けて薄く塗装することでムラの無い均一な塗膜になります。
ローラー塗装
ローラーで綺麗に塗装するコツ
①ローラー選び
ローラーには小型(スモール)、中型(ミドル)、大型(レギュラー)の3種類があります。
細かい部分には小型、広い部分には大型と使い分けることで効率よく作業が可能です。
またローラーの毛の長さにも種類があり短毛、中毛、長毛3種類に分かれます。
- 短毛
塗料を含みにくく塗装効率が悪いですが、滑らかな表面を美しく仕上げることができます。 - 中毛
短毛と長毛のちょうど中間の性質を持っています。 - 長毛
塗料を含みやすいので塗装効率に優れていますが、塗料の飛散やタレが生じやすく扱いにコツが必要です。
②抜け毛の防止
新しいローラーには抜けやすい、抜けかかっている毛が多くあります。
手で払う、養生テープやマスキングテープなどの粘着面で転がすことで塗装中の抜け毛を防止します。
③ローラー全体に塗料を含ませる
ローラーを転がしながら塗料を含ませます。
あまりに含み少ないもムラの原因となりますが、余分に塗料を含み過ぎた場合も同様にムラの原因となります。
④塗り方
ムラなく均一な仕上がりとするためには、一度で全体を塗りきるのではなく部分的に塗装する必要があります。
まず塗料を含んだ状態である程度の範囲をジグザグにWまたはMを描くようにざっくり塗装します。
塗装した範囲の塗料が均一になるよう何度か同一方向に塗り広げていき、部分的な塗装が完了。
このような作業を繰り返し、全体を塗装していきます。
また力の入れ具合、持ち手の角度、ローラーを動かす速度を一定に保つことも綺麗にする重要なポイントです。
エアスプレー塗装
エアスプレーで綺麗に塗装するコツ
①エアと塗料の吐出量を調整
エアスプレーはエア(圧縮空気)と塗料のどちらも吐出量を調整できます。
塗料の種類や粘度、塗装スピード、塗装範囲などによって調整する必要があります。
- エアの吐出量が多い場合
粘度が高い塗料や離れた距離でも塗装可能となりますが、仕上がりがざらついたり塗料がうまく付着せず飛散量が増えてしまう場合があります。 - エアの吐出量が少ない場合
塗料の飛沫を抑えることで狭い範囲を塗装するのに適しますが、作業効率が低いので広い範囲を塗装するのには適しません。 - 塗料の吐出量が多い場合
作業効率は上がりますが、ガンスピードが遅いとすぐにタレなどが発生します。 - 塗料の吐出量が少ない場合
箱状の内部など狭い範囲の塗装に適しますが、塗膜が霧状やサメ肌になるなど仕上がりにムラが出来やすくなります。
エアも塗料も対象物の形状、塗装範囲、塗料などによって適切な調整は異なります。
少しずつ調整を行いながら感覚をつかむことが重要です。
②パターン幅の調整
パターン幅とはエアスプレーから吹き付けられる塗装の幅です。
パターン幅を絞ることで塗装範囲は小さく、開くことで塗装範囲は広くなります。
あまりにパターン幅が狭いと広い面ではムラになりやすく、塗装対象物との吹き付け距離20cm程度でパターン幅10cm程度になるのが適切とされています。
③塗装の向き、距離、スピード
エアスプレーは塗装面に垂直方向で吹き付け、塗装距離の目安は20cm程度、エアスプレーを動かすスピードは一定。
これらの3つを一定に保ちながら塗装を行うことで、ムラの無い均一な仕上がりになります。
④塗り方
エアスプレーのパターン幅は塗料が多く範囲と少ない範囲があり、吐出量にムラがあります。
そのため1/3~1/2程度パターン幅を一定間隔で被せながら塗装することで、塗膜の厚さが均一になります。
エアレススプレー塗装
エアレススプレーで綺麗に塗装するコツ
①チップの選定
エアレススプレーは塗料の吐出口であるチップによってパターン幅、吐出量、塗料粒子の大きさが決まります。
対象物の形状、塗装範囲、下塗り・上塗りなど塗装状況によってチップを選ぶことが重要です。
- パターン幅が広い/吐出量が多い
広い範囲を効率よく塗料を付着させますが、対象物が小型だと塗料の飛散・ロスが増えます。 - パターン幅が狭い/吐出量が少ない
狭い範囲や細かい部分を塗装するのに向きますが、作業効率は悪いです。 - チップの口径が大きい
塗料粒子が大きく、多くの塗料を付着させますが、滑らかな仕上がりにするのが難しく下塗りに向きます。 - チップの口径が小さい
塗料粒子が小さく、塗料を多く付着させることは難しいですが、滑らかな仕上がりになり上塗りに向きます。
塗料の取り扱い説明書に推奨とされるチップが記載されていることもありますので、確認してみましょう。
②塗料の希釈率
エアレススプレーは塗料の吐出量、塗着効率が非常に高い塗装方法です。
- 希釈率が高すぎる
塗料の粘度が低いためタレなどが発生しやすく、塗膜も薄くなります。 - 希釈率が低すぎる
塗料の粘度が高いため表面が凸凹して仕上がりが悪く、塗膜が厚くなります。
塗料は計測しながら適切に希釈する必要があります。
③塗装の向き、距離、スピード
エアレススプレーは塗装面に対し垂直方向で吹き付け、塗装距離とガンスピードを一定に保つことで、ムラの無い均一な仕上がりになります。
圧力、使用するチップ、塗料などによって適切な塗装距離とガンスピードは変化します。
- 距離が近すぎる/ガンスピードが遅い
表面に必要以上に塗料が付着し、タレや流れが発生します。 - 距離が遠すぎる/ガンスピードが早い
塗料が付着せず、色ムラやざらつきなど仕上がりが悪くなります。
調整が不安な場合は塗装前に不要な段ボールなどへ試し塗りを行うといいでしょう。
④塗り方
エアレススプレーはまず角や隅から塗装を始め、その後広い面を塗装することでムラになりにくいです。
またチップにもよりますが、パターンを1/3程度被せながら塗装することで、塗膜の厚さが均一になります。
塗装に必要な環境管理
広く使用されている常温乾燥型の塗料は液体状態で塗布や吹き付けを行い、時間経過と共に徐々に硬化していくことで強固な塗膜になります。
これらの塗料には一般的に塗装時に必要とされる3つの環境条件があります。
※塗料の種類によっては当てはまらないものもありますので、塗装前には必ず塗料の説明書をご確認下さい。
気温
塗装を行う周辺環境は気温5℃以上である必要があります。
気温が極端に低い場合、塗料が硬化するのに通常以上の時間が必要となります。
硬化するまでの間にゴミやホコリなどが付着するリスク、降雨や降雪などにより塗装環境が大きく変化する可能性が高いので推奨されていません。
また低気温時には結露が起こりやすい環境であるため、注意が必要です。
逆に35℃を超える高温環境下では塗料の乾燥が早すぎるため、ざらつきなど仕上がりが悪くなる可能性があります。
乾燥を遅らせる効果のある夏用シンナーを使用するなどの対策が必要です。
湿度
塗装を行う周辺環境は湿度(相対湿度)85%未満である必要があります。
湿度が極端に高い場合、塗料中の水分や溶剤が気化しにくくなります。
乾燥が遅れるだけではなく、上手く硬化できず塗膜が白く濁る「白化」、光沢がなくなる「艶引け」など仕上がりや塗膜性能に大きな悪影響を及ぼします。
また高湿度時には結露が起こりやすい環境であるため、注意が必要です。
塗料によっては湿度50%以上など湿度を必要とするものもありますので、塗料の説明書を確認し使用しましょう。
結露
塗装を行う周辺環境は結露を防ぐため、表面温度が露点温度より3℃以上高い必要があります。
結露とは空気中の水蒸気が冷やされることで、水滴となって表れる現象です。
冷たいビールを注いだグラスや屋内と屋外を隔てる窓ガラスなどでよく見かけられます。
物体の表面温度が気温と近しいまたは低い状況下で結露は発生しやすくなります。
結露した表面へ塗装すると塗膜が白く濁る「白化」、塗膜に閉じ込められた水分が膨張する「フクレ」、水分が密着を阻害する「密着不良」や「剥離」など仕上がりや塗膜性能を大きく損なう可能性があります。
塗装時の環境管理で必要とされる「気温」、「湿度」はこの結露を防ぐための基準という意味合いが大きいです。
表面温度の計測が難しければ、表面にセロハンテープなどを貼り付けたときの密着力で簡易的に判別できます。
表面に油分や異物がない前提ですが、結露している場合はテープがほとんど張り付きません。
塗装工程において最も重要とされるのが「素地調整」や「下地処理」の工程となります。
1種ケレンと呼ばれる『ブラスト処理』、2種ケレンと呼ばれる『電動工具処理』。
素地調整の方法が異なるだけですが製品の仕上がり、耐久性に多大な影響を及ぼします。
表面に塗膜や錆、汚れなどが残る電動工具処理ではどうしても仕上がりは悪く、密着力の低下により耐久性は大きく下がってしまいます。
「ブラスト処理」と「電動工具処理」の処理方法の違いだけでも、塗膜寿命に約50%もの影響を与えるとされています。
これは「塗装回数」や「塗料の種類」を大きく上回る影響力です。
「塗装の回数を増やす」、「高性能な塗料を使う」ことも重要ではありますが「ブラスト処理で素地調整をする」だけで
塗装寿命は大幅に延長する事が可能となります。
代表的なブラスト加工4種
・圧縮空気で噴射する「エアーブラスト」
・モーターで羽根車を高速回転させ遠心力で投射する「ショットブラスト」
・水と研磨材を混合し、圧縮空気で噴射する「ウェットブラスト」
・圧縮空気で噴射した研磨材をノズル内で吸引、回収する「バキュームブラスト」
加工方法の原理とそれぞれのメリット・デメリットについて下記リンクにて詳しく解説しています。
まとめ
塗装は金属を「錆から守る」だけでなく「色彩」や「美しさ」、「機能性」まで付け加えることが可能な表面処理です。
対象物の素材や形状を問わず、手軽に行えるため幅広い分野で使われています。
耐久性、対象物の形状、求めている仕上がりによって塗料や塗装する方法・道具を選定するとスムーズです。
また一度で塗装するのではなく、数回に分けて塗装する方が綺麗に仕上がりやすいです。
塗装前の下地処理、塗装時の環境条件によって耐久性や仕上がりは大きく変わってきますので、注意しましょう。
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用語解説|塗料の基礎用語まとめ
本ページで使用する専門用語の説明
- 塗装(英語:Painting)
金属の表面処理の一種で塗料を塗ることで表面に塗膜を形成させる。
防錆、美観、機能の付与など様々な用途がある。
表面処理(英語:Surface treatment/Surface preparation)
素材表面の性質を向上させる目的に行う処理のことです。
研磨・塗装・メッキ・熱など多くの処理方法があります。- 錆(さび/腐食生成物 英語:Rust)
金属表面の金属原子が環境中の「酸素」「水分」などと酸化還元反応を起こして生成される腐食物。
酸素や水があるところに鉄を放置すると、錆を生じる。
表面に凹凸が出来て反応面積が増大するため、一旦生じた錆は加速度的に進行する。
樹脂(英語:Resin)
樹脂には自然由来となる漆、松油などの天然樹脂と石油等の化石資源を原料とした合成樹脂があります。
塗料で使用されるのは合成樹脂となります。
合成樹脂は様々なものに加工されており、プラスチックやポリ袋、衣類にも使用されています。
塗膜(英語:Coating film)
塗装した塗料が完全硬化した塗料の被膜。
塗膜により塗装対象物を覆い隠す事でサビや劣化から保護します。- VOC(揮発性有機化合物 英語:Volatile organic compounds)
揮発しやすく、常温常圧で気体となる有機化合物の総称。
トルエン、キシレン、ホルムアルデヒドなど200種類以上の様々な種類があり、人体や環境への悪影響が問題となっている。
全世界で多量のVOCが排出されているので自主的なVOCを減らす取り組みが必要。
素地調整(英語:Surface preparation)
素地をより塗装に適した状態にする処理の事です。
素地調整で素地のサビ・汚れ・劣化した塗膜など除去し、更に形成した凹凸によって塗料の付着性を大きく向上させます。
塗装寿命に影響する原因は素地調整によるものが50%を占める程、重要な処理となります。
ブラスト(グリッドブラスト/サンドブラスト/1種ケレン 英語:Blast)
高圧で圧縮した空気を研削材と呼ばれる粒と一緒に噴射し、製品に衝突させることで表面のゴミ、汚れ、塗装などを除去します。
またブラストによって表面は微細な凹凸が形成されるため、塗料などコーティングの密着性が向上。
塗装前の素地調整や梨地加工などに使用されている。


























