ブラスト規格と素地調整・下地処理の解説|ISO・SSPC・ケレン比較|原田鉄工

ブラスト規格と素地調整・下地処理の解説|ISO・SSPC・ケレン比較

【素地調整】 ブラストの規格表|ISOとSSPCとケレン
素地調整と下地処理は塗装工程の中で最重要とされています。
作業方法で有名なものにはブラスト処理、研磨処理や脱脂処理、パテ・プライマー処理などがあります。
特に弊社が主力とするブラスト処理は最も代表的かつ高度な素地調整の手法となります。

本記事では、素地調整や下地処理の現場で広く使用されている「ブラスト規格(ISO規格やSSPC規格)」などの国際的な規格及び国内の「ケレン区分」について、その重要性と作業方法について分かりやすく解説します。

素地調整や下地処理について

素地調整」と「下地処理」(下地調整)はどちらも似たような意味合いで使われる事が多いですが、正確には異なる作業となります。

素地調整は塗装などの手が加えられていない状態の「素地」を塗装に適した表面へ変化させる作業です。
下地処理は既に塗装などが行われた「下地」を塗装に適した表面へ変化させる作業です。

どちらも塗装対象物の「
表面を塗装に適した状態へ変化させる作業」ではありますが、作業前の状態が違うんです。
また素地調整は表面の研磨・脱脂が基本となりますが、下地処理はプライマー塗装やパテといった劣化した表面を補修する作業も含まれています。

上記の様に説明しましたが実際には「素地調整」も「下地処理」どちらも区別されずに仕様書に記載されている事がほとんどです!
あまり考えすぎずどちらも「塗装に適した表面へ変化させる」意味合いで捉えておいた方が良いのかもしれません。

素地調整や下地処理の作業方法

表面を塗装に適した状態に変化させる方法ですが、「表面の状態」や「必要な耐久性」を考慮しながらいくつかの方法を組み合わせて作業を行います。

脱脂処理

脱脂処理
脱脂処理は有機溶剤となる「シンナー」「ガソリン」「アセトン」や「中性洗剤」「専用のクリーナー」などを使用して、表面に付着した油分や汚れを取り除く処理となります。

取り除く際に使用する洗浄剤に指定はありませんが、以下ような特徴があります。
・有機溶剤であるシンナーなどは洗浄力が高く、揮発しやすいため作業性が高い。
・中性洗剤などは洗浄力・揮発性は劣りますが入手しやすく、安全性が高い。

表面に付着している汚れ・油分の種類などを見極めて使用する洗浄剤を選ぶと効果的です。
また洗浄後は拭き上げなどを行い、十分に乾燥させてから次の工程に進む必要があります。

脱脂処理が不十分な場合は塗料や接着剤がはじかれ密着不良、色ムラやシミの原因となりますので、
必要不可欠の工程となります。

研磨処理

研磨処理
研磨処理は「ケレン作業」とも呼ばれ、表面に付着した「酸化被膜」「」「汚れ」などを除去する処理です。
作業方法はディスクサンダーなどの電動工具やブラスト加工などが広く使用されています。

どの程度まで異物を除去し、表面を清浄化させるか?によって様々な規格に分類されます。
ブラスト処理 > パワーツール処理 > ハンドツール処理
この様な順番で優れているとされ、これは処理方法によって可能な洗浄度が大きく異なるためです。

塗装や接着、コーティングの作業前に必要となります。
研磨処理が不十分な場合は密着不良が原因となり塗装不良や早期剥離などに直結するので、
素地調整や下地処理の中で最も重要な工程とされています。

パテ、プライマー処理

パテ付け
塗装対象物の素材や表面状況によってはパテ付けが必要だったり、専用のプライマーを塗布する必要があります。

・パテ付けは劣化している箇所、凹みがある箇所を均一な表面にする事で仕上がりを美しくします。
・特殊な金属や木材、コンクリートなどは専用のプライマーを塗布する事によって密着しない、吸い込む、
滲むなどの不具合を防ぐ効果があります。


素地調整 サンドブラストとグリットブラストの比較

ブラスト規格と素地調整(下地処理)の代表的な規格

広く使用されている素地調整・ブラスト規格は主に「ISO規格」と「SSPC規格」
大きく2つに分けられます。

SSPC(Steel Structures Painting Council)規格

アメリカに本部を置く産業・海上構造物の保護を目的とした非営利組織です。
産業・海上構造物のコーティング分野に特化した規格を定めています。
素地調整を行う方法や洗浄度などによって細かく規格化されており、16規格ほど存在します。

ISO(International Organization for Standardization)規格

スイスに本部を置く世界中で同じ品質や製品・サービスを規格化し、円滑な国際取引を目的とした非営利組織です。
製品からマネジメントまで様々な規格があり、5万規格以上とされています。
表面処理に関するものは6規格あります。

ケレンについて

こちらは1種ケレン~4種ケレンといった形で分類はされていますが、規格ではなく一般呼称となります。
英語のClean(クリーン)が語源となっており、表面を綺麗にするための研磨などの作業を指します。

1種ケレン~4種ケレンまでの比較
作業方法や効果などを詳しく説明しています。
塗装工程で最重要となるケレンとは?作業方法と効果

ブラスト規格対応表_ISO規格、SSPC規格、ケレン

清浄度(除錆率) ISO規格 SSPC規格 国内ケレン呼称
100%(完全な金属色) Sa 3 SP 5 1種ケレン
95%以上(ほぼ完全) Sa 2.5 SP 10 1種ケレン
67%以上(商業仕上げ) Sa 2 SP 6 2種ケレン
【実務担当者様へ】
ISO規格・SSPC規格・ケレン区分のより詳細な対応関係や、施工管理に役立つ「素地調整・下地処理の各種規格対応表(完全版)」は、以下の画像リンクより無料でダウンロードいただけます。
素地調整の各種規格表
「ISO規格」「SSPC規格」「一般呼称のケレン」
それぞれの処理方法と除錆率を対応させた規格表です。
※ケレンは工業規格ではなく通称となります
対応関係は一般的に知られている認識に基づいた参考情報ですので目安としご覧ください

規格によって作業方法や作業環境などに関する規定が異なる部分はありますが、基本的に「処理方法」と「除錆率」で分類されています。

ブラスト規格の代表的な基準

「ISO規格」「SSPC規格」この2つの中で頻出するブラスト規格は以下のものになります。

ブラスト処理でよく使用されるISO規格

Sa3(除錆度99%以上)
拡大鏡なしで表面には目に見えるミルスケール、さび、塗膜、異物、油、グリース及び泥土がなく、均一な金属色を呈している。
Sa2.5(除錆度95%以上)
拡大鏡なしで表面には目に見えるミルスケール、さび、塗膜、異物、油、グリース及び泥土がなく、残存する全ての汚れは斑(はん)点またはすじ状のわずかなシミだけ認められる。
Sa2(除錆度67%以上)
拡大鏡なしで表面にはほとんどのミルスケール、さび、塗膜、異物、目に見える油、グリース及び泥土がなく、残存する汚れはすべて固着している。

ブラスト処理でよく使用されるSSPC規格

SP5 White metal(除錆率99%以上)
肉眼で見える油分、グリース、汚れ、酸化被膜、錆、塗膜などの異物は完全に除去する。
明るい影や変色がなく、表面を均一な金属色へ仕上げる。
SP10 Near-white metal(除錆率95%以上)
肉眼で見える油分、グリース、汚れ、酸化被膜、錆、塗膜などの異物は完全に除去する。
酸化被膜などによる薄い影、変色といった軽度の汚れのみ5%まで許容される。
SP6 Commercial blast cleaning(除錆率67%以上)
肉眼で見える油分、グリース、汚れ、酸化被膜、錆、塗膜などの異物を67%以上除去する。
酸化被膜などによる薄い影、変色といった軽度の汚れのみ33%まで許容される。
ブラスト加工技術ガイドブック-1
ブラスト加工技術ガイドブック-2
ブラスト加工技術ガイドブック-3
ブラスト加工技術ガイドブック-4
ブラスト加工技術ガイドブック-5
ブラスト加工技術ガイドブック-6
ブラスト加工技術ガイドブック-7
ブラスト加工技術ガイドブック-8
ブラスト加工技術ガイドブック-9
ブラスト加工技術ガイドブック-10
ブラスト加工技術ガイドブック-11
ブラスト加工技術ガイドブック-12
ブラスト加工技術ガイドブック-13
ブラスト加工技術ガイドブック-14
ブラスト加工技術ガイドブック-15

ブラスト処理による素地調整・下地処理の重要性

塗膜寿命に及ぼす寄与率は素地調整(1種ケレンと2種ケレンの差)が49.5%
塗装工程において最も重要とされるのが「素地調整」や「下地処理」の工程となります。
製品の仕上がりはもちろん、耐久性に多大な影響を及ぼします。
「ブラスト加工」と「電動工具処理」の処理方法の違いだけでも、塗膜寿命に約50%もの影響を与えるとされています。
これは「塗装回数」や「塗料の種類」を大きく上回る影響力です。

「塗装の回数を増やす」、「高性能な塗料を使う」ことも重要ではありますが「ブラスト加工で素地調整をする」だけで
塗装寿命は大幅に延長する事が可能となります。

そのためブラスト加工は高度な耐久性が必要とされる橋梁やプラント設備などの素地調整において欠かせない手法となっています。

代表的なブラスト加工4種
・圧縮空気で噴射する「エアーブラスト」
・モーターで羽根車を高速回転させ遠心力で投射する「ショットブラスト」
・水と研磨材を混合し、圧縮空気で噴射する「ウェットブラスト」
・圧縮空気で噴射した研磨材をノズル内で吸引、回収する「バキュームブラスト」
加工方法の原理とそれぞれのメリット・デメリットについて下記リンクにて詳しく解説しています。
ブラスト加工とは?代表的な加工方法の原理とメリット・デメリット
金属塗装の教科書|プロが実践する高品質な仕上がりのための鉄則と手順
大型サンドブラスト処理の技術と品質基準|SSPC・ISO規格に準拠した重防食下地処理

まとめ

素地調整や下地処理とは塗装対象物の「表面を塗装に適した状態へ変化させる作業」
作業方法は「脱脂処理」「研磨処理」「パテ・プライマー処理」などがあり、表面の状態や必要となる耐久性を考慮し作業方法を決める必要がある。
素地調整で広く使用されている規格はSSPC規格とISO規格の2種類。
塗装寿命を決定する最大の要因は「素地調整」
塗装回数を増やす、高性能の塗料を使用する事よりもブラスト処理で素地調整を行う事で塗装寿命を大幅に延長する事が可能となります。

また素地調整の清浄度は塗装後に判別する事ができません。
本当に規格通り適切な処理方法と精度で行っているのか、否かで数年後に大きな差となり現れます。
信頼できる塗装業者を選定、素地調整の規格を指示し、きちんと塗装してもらう必要があります。
広島のブラストは原田鉄工にお任せください

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原田鉄工では素地調整専用の大型ブラスト設備を2基所有しています。
「サンドブラスト」「グリットブラスト」それぞれ使用している研削材を変えることにより、材質・形状・希望の仕上がりなど多くのご要望にお応えします!


また塗装設備も所有しておりますので、素地調整後4時間以内が基本とされるプライマー塗装までの時間間隔も原田鉄工なら迅速に塗装可能です。
創業より80年間、海上・海中といった厳しい環境下にも耐える重防食塗装を専門としてきました。

製品の耐久性を決定づけるのは「素地調整」と「塗装」の品質です!
・ブラスト加工によって付着物の一切ない清浄な金属素地を露出
・錆戻りや再び表面が汚染される事の無いように迅速なプライマー処理
・規定となる塗膜厚に管理しながらムラの無い均一な塗装
・仕上がりの美観、塗膜厚を徹底的に検査

長期間「綺麗」で「錆びない」塗装を提供し、製品の長寿命化及びトータルコストの削減に貢献します。

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用語解説|ケレン・素地調整・下地処理の基礎用語まとめ

本ページで使用する専門用語の説明

  • 素地調整(英語:Surface preparation)
 素地をより塗装に適した状態にする処理の事です。
 素地調整で素地のサビ・汚れ・劣化した塗膜など除去し、形成した凹凸によって塗料の付着性を大きく向上させます。
 塗装寿命に影響する原因は素地調整によるものが50%を占める程、重要な処理となります。

  • 下地処理(英語:Surface treatment/Surface preparation)
    下地をより塗装に適した状態にする処理の事です。
    下地は既に防錆処理を施された面の事を言い、塗り重ねなどを行う前に行う処理となります。

  • 脱脂処理(英語:Degrease)
 塗装前に材料表面に付着したゴミや油分を取り除くため、中性洗剤や有機溶剤(シンナー等)で洗浄を行う事。
 油分が残っていると塗料がはじかれたり、付着不良が起こる可能性があるので必ず行う必要がある。

  • プライマー(下塗り 英語:Primer)
    腐食を防ぐため、最初に塗る下塗り塗装の事です。
    英語のPrimari=最初の・1番目の意味から来ているとされます。

  • ケレン
    ケレンは元々英語のクリーン(Clean)から来ているようで、塗装前の下地を綺麗にするという意味になります。
    1種ケレン~4種ケレンまで工法と除錆率により分類される。
    塗装物に対して塗料の密着性を向上させるために表面に凸凹のキズをつけたり、中古品なら古い塗料や錆を剥がすなど行います。

  • 除錆度(英語:Preparation grade)
    JIS Z 0310では"素地調整用ブラスト処理方法通則 清浄度の中、ミルスケール及びさびの除去程度"と定義。
    ミルスケール(黒皮)やさびをどれだけ除去できたかを目視にて評価します。

  • 塗膜(英語:Coating film)
    塗装した塗料が完全硬化した塗料の被膜。
    塗膜により塗装対象物を覆い隠す事でサビや劣化から保護します。

  • ブラスト(ショットブラスト/グリッドブラスト/サンドブラスト/1種ケレン 英語:Blast)
    高圧で圧縮した空気を研削材と呼ばれる粒と一緒に噴射し、製品に衝突させることで表面のゴミ、汚れ、塗装などを除去します。
    またブラストによって表面は微細な凹凸が形成されるため、塗料などコーティングの密着性が向上。
    塗装前の素地調整や梨地加工などに使用されている。

  • 梨地加工(シボ加工/マット仕上げ)
    表面処理において意図的に微小な凹凸をつくる加工。
    滑り止め、反射防止などの効果だけでなく、指紋や汚れなどを目立ちにくくする効果もあります。

  • 研磨剤(研削材/研掃材/メディア)
    ブラストで使用される加工対象物に直接ぶつけるための粒子です。
    球体、多角形状などの形状や粒径、材質が多くの種類が存在するため、対象物の材質や処理効果に合わせて研磨剤を選定する。


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【ブラスト加工とは?代表的な加工方法の原理とメリット・デメリット】
【ブラスト規格と素地調整・下地処理の解説|ISO・SSPC・ケレン比較】
【塗装工程で最重要となるケレンとは?作業方法と効果】
塗料の種類と選び方|耐久性・特徴を徹底比較【2026年最新版】
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大型サンドブラスト処理の技術と品質基準|SSPC・ISO規格に準拠した重防食下地処理
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